ライフスタイル

【上級編・中編】コーヒーの奥深き世界──プロの技術と世界の文化

ミオとルナのMorningWords

プロローグ: プロの視点、世界の広がり

朝のプロフェッショナル・カッピング

朝の光が差し込むキッチンで、コーヒーを淹れる。

自分で焙煎した豆。
焙煎から3日目、完璧なタイミング。

前編で、歴史と科学を学び、自家焙煎に挑戦しました。

「エチオピアから始まった1000年の旅」
「メイラード反応で生まれる香り」
「第一ハゼの音、あの瞬間の感動」

知れば知るほど、コーヒーは奥深い。

でも、ふと思うんです。

「プロのバリスタは、どうやってコーヒーを評価しているんだろう?」
「世界中の人は、どんな風にコーヒーを楽しんでいるんだろう?」
「スペシャルティコーヒーって、具体的にどういう仕組みなんだろう?」

わたしも2年前、同じように思いました。

中級編でカッピングの基礎は学んだけれど、「プロはもっと深く評価しているはず」と。

そこから、SCAAのカッピングプロトコルを調べたり、世界のコーヒー文化の本を読んだり、スペシャルティコーヒー専門店で話を聞いたり。

エチオピアのコーヒーセレモニーの神聖さ。
イタリアのエスプレッソ文化の誇り。
北欧のフィーカの豊かさ。

「コーヒーは、こんなに多様なんだ」

その発見が、コーヒーをもっと広い世界に繋げてくれました。

今日は、プロの視点と、世界の広がりを、ご案内します。

プロのテイスティング技術。
世界のコーヒー文化。
スペシャルティコーヒーの世界。

この3つを知ると、コーヒーがもっと立体的に見えてきます。

焦らなくていい。
全部実践しようとしなくていい。

あなたのペースで、ゆっくりと。

さあ、プロの技術と世界の文化を、一緒に探求しましょう。


第1章: プロのテイスティング技術──Qグレーダーの視点

やわらかな光の評価シート

中級編で、カッピングの基礎を学びました。

5つの要素(香り、酸味、苦味、甘み、コク)を評価し、言語化する。

でも、プロのバリスタやQグレーダーは、もっと緻密に評価しているんです。

SCAAカッピングプロトコル

SCAA(現在はSCA: Specialty Coffee Association)が定めた、世界標準のカッピング方法です。

必要なもの:

  • コーヒー豆(サンプル)
  • カッピングボウル(150ml程度のグラス製)
  • カッピングスプーン(深めのスプーン)
  • お湯(93℃)
  • スケール、タイマー
  • カッピングフォーム(評価シート)

手順:

1. 豆を挽く(0分):

  • 中粗挽き
  • 8.25g±0.25gを正確に計量
  • カッピングボウルに入れる

2. ドライアロマを評価(0〜3分):

  • 挽いた豆の香りを嗅ぐ
  • フレーバーノートに記録

3. お湯を注ぐ(4分):

  • 93℃のお湯を150ml注ぐ
  • タイマースタート

4. ウェットアロマを評価(4〜8分):

  • お湯を注いだ直後の香りを嗅ぐ
  • 蒸気と共に立ち上る香りを感じる

5. クラストを破る(8分):

  • スプーンでクラスト(表面の泡)を3回かき混ぜる
  • 鼻を近づけて、香りを嗅ぐ
  • この時の香りが最も強い

6. クラストを取り除く(10分):

  • スプーンで表面の泡を取り除く

7. カッピング(冷却しながら、15分〜):

  • ドライアロマ(挽いた豆)とウェットアロマ(お湯を注いだ後)
  • フローラル、フルーティー、ナッツ、スパイシーなど
  • コーヒーが70℃、50℃、室温と冷めていく過程で、3回以上テイスティング
  • スプーンですくって、音を立てて吸い込む(スラーピング)
  • 口の中全体に広げて、味わいと後味を評価

8. スコアリング:

  • カッピングフォームに点数をつける

わたしが初めてSCAAプロトコルに沿ってカッピングした時、「こんなに厳密なんだ」と驚きました。

温度によって味わいが変わるから、何度もテイスティングするんです。

カッピングフォーム: 10の評価項目

SCAAのカッピングフォームでは、10の項目を各10点満点で評価します。

1. Fragrance/Aroma(香り):

2. Flavor(フレーバー):

  • 全体的な味の印象
  • 香りと味の組み合わせ

3. Aftertaste(後味):

  • 飲み込んだ後、口に残る味わい
  • 良い後味は長く、心地よい

4. Acidity(酸味):

  • 明るさ、活発さ
  • 良い酸味は「明るい」「活き活きとした」
  • 悪い酸味は「酸っぱい」「不快」

5. Body(ボディ):

  • 口当たりの重さ、質感
  • ライト、ミディアム、フル
  • シルキー、クリーミー、重厚など

6. Balance(バランス):

  • フレーバー、後味、酸味、ボディの調和
  • どれか1つが突出していると、バランスが悪い

7. Sweetness(甘み):

  • ナチュラルな甘み
  • 砂糖の甘さではなく、豆本来の甘み

8. Uniformity(均一性):

  • 複数のカップで、味が均一か
  • ばらつきがないか

9. Clean Cup(クリーンカップ):

  • 雑味がないか
  • 透明感、クリアさ

10. Overall(総合評価):

  • テイスターの主観的な評価
  • 「また飲みたいか」「好きか」

合計点:

  • 100点満点
  • 80点以上が「スペシャルティコーヒー」

わたしが自分で焙煎した豆をSCAAフォームで評価してみたら、「72点」でした。

「80点には届かないけれど、自分で焙煎した豆がこの点数!」と嬉しかったです。

Qグレーダーとは?

Qグレーダー(Q Grader)は、SCAが認定するコーヒーの品質評価者です。

資格取得の流れ:

  • 6日間の集中トレーニング
  • 22の試験(筆記、カッピング、テイスティング)
  • 合格率は約60〜70%
  • 3年ごとに再認定が必要

Qグレーダーの役割:

  • コーヒーの品質を客観的に評価
  • 生産者、ロースター、バイヤーの橋渡し
  • スペシャルティコーヒーの品質基準を守る

世界中に、約7,000人のQグレーダーがいます。

彼らが、わたしたちが飲むスペシャルティコーヒーの品質を守っているんです。

フレーバーノート・アロマノートの深い理解

中級編で「フレーバーホイール」を学びましたが、プロはもっと細かく評価します。

フレーバーノートの例:

フルーティー系:

  • ベリー: ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリー、ブラックベリー
  • 柑橘: レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム
  • トロピカル: パイナップル、マンゴー、パパイヤ、パッションフルーツ
  • 核果: ピーチ、アプリコット、プラム、チェリー

フローラル系:

  • ジャスミン、ローズ、ラベンダー、ハイビスカス、カモミール

スイート系:

  • チョコレート、キャラメル、バニラ、ハチミツ、メープルシロップ、ブラウンシュガー

ナッツ系:

  • アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ウォルナット、カシューナッツ

スパイシー系:

  • シナモン、クローブ、ナツメグ、カルダモン、ペッパー

ロースト系:

  • トースト、カカオ、モルト、パイプタバコ

わたしが「エチオピア・イルガチェフェ」をカッピングした時、「ブルーベリー、ジャスミン、ハチミツ」とノートしました。

こんな風に、具体的に言語化できると、コーヒーの味わいが立体的に見えてきます。

ディフェクト(欠点豆)の見分け方

プロは、欠点豆も厳しくチェックします。

主な欠点豆:

1. Black Bean(黒豆):

  • 発酵しすぎた豆、腐った豆
  • 味: 土臭い、腐った味
  • 重大な欠点

2. Sour Bean(酸っぱい豆):

  • 過度に発酵した豆
  • 味: 酸っぱい、不快な酸味
  • 重大な欠点

3. Insect Damage(虫食い豆):

  • 虫に食われた豆
  • 味: 土臭い、化学的な味

4. 未熟豆(Immature Bean):

  • 完全に熟していない豆
  • 味: 青臭い、渋い

5. 貝殻豆(Shell Bean):

  • 豆が変形している
  • 味への影響は少ない

スペシャルティコーヒーは、欠点豆が非常に少ない(ほぼゼロ)ことが条件です。

わたしも自家焙煎する時、生豆をチェックして、欠点豆を手で取り除いています。

50gの生豆から、2〜3個の欠点豆を見つけることもあります。

【今すぐできる1分アクション】
次にコーヒーをカッピングする時、SCAのフォーマット(ネットで検索すると出てきます)をプリントして、10項目を評価してみましょう。プロの視点を体験すると、味わいがもっと深く理解できます。


第2章: 世界のコーヒー文化──多様な楽しみ方

世界のカップと朝の光

コーヒーは、世界中で愛されています。

でも、その楽しみ方は、国によって全く違うんです。

エチオピア: コーヒーセレモニーの神聖さ

エチオピアは、コーヒー発祥の地

朝の光と香煙のセレモニー

ここでは、コーヒーは単なる飲み物ではなく、神聖な儀式です。

コーヒーセレモニー(Buna):

1. 生豆を洗う:

  • 女性が生豆を水で洗う

2. 焙煎する:

  • 平たい鍋で、炭火の上で焙煎
  • 煙と香りが部屋中に広がる
  • 参加者全員が香りを楽しむ

3. 挽く:

  • 石臼と木の棒で、手で挽く
  • リズミカルな音が響く

4. 抽出する:

  • ジャバナ(陶器のポット)で煮出す
  • 沸騰したお湯に粉を入れ、3回煮る

5. 供する:

  • 小さなカップ(シニ)に注ぐ
  • 砂糖を加えることもあるが、ミルクは加えない
  • 3杯飲む習慣(第1杯: アウォル、第2杯: トナ、第3杯: バラカ=祝福)

6. お香を焚く:

  • フランキンセンス(乳香)を焚く
  • コーヒーの香りと混ざり、神聖な雰囲気
💡あわせて読みたい  【上級編・前編】コーヒーの奥深き世界──歴史・科学・焙煎を知る

所要時間: 2〜3時間

わたしが動画でエチオピアのコーヒーセレモニーを見た時、その美しさに感動しました。

「コーヒーは、ただ飲むものじゃない。時間を共有し、繋がるためのもの」

そう感じました。

イタリア: エスプレッソ文化の誇り

イタリアは、エスプレッソの国

朝のバールとエスプレッソ

朝はカプチーノ、日中はエスプレッソ。

イタリア流コーヒーの飲み方:

朝(〜11:00):

  • カプチーノ、カフェラテ
  • コルネット(クロワッサン)と一緒に
  • 座って、ゆっくり飲む

日中(11:00〜):

  • エスプレッソ
  • バールのカウンターで、立ったまま
  • 1〜2分で飲み終える
  • 1日に5〜6杯飲む人も

午後以降はカプチーノNG:

  • イタリア人は、午後にカプチーノを飲まない
  • 「ミルクは朝だけ」という文化
  • 観光客が午後にカプチーノを頼むと、「あ、外国人だな」とバレる

エスプレッソの種類:

  • Caffè(カフェ): 普通のエスプレッソ
  • Caffè Ristretto(リストレット): 濃いエスプレッソ
  • Caffè Lungo(ルンゴ): 薄いエスプレッソ
  • Caffè Macchiato(マキアート): エスプレッソにミルクの泡を少量
  • Caffè Corretto(コレット): エスプレッソにグラッパ(蒸留酒)を加える

イタリア人にとって、エスプレッソは「生活の一部」であり、「誇り」です。

北欧: フィーカ(Fika)の豊かさ

北欧(スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク)は、世界で最もコーヒーを飲む地域

北欧フィーカの朝時間

1人あたりの年間消費量は、日本の約3倍。

フィーカ(Fika):

  • スウェーデン語で「コーヒーブレイク」
  • でも、単なる休憩ではなく、文化

フィーカの特徴:

1. 1日に2〜3回:

  • 午前(10:00頃)と午後(15:00頃)
  • 職場でも、学校でも、フィーカの時間がある

2. 甘いお菓子と一緒に:

  • シナモンロール(カネルブッレ)
  • カルダモンパン
  • クッキー

3. 人と繋がる時間:

  • 同僚、友人、家族と一緒に
  • 会話を楽しむ
  • スマホは見ない

4. 明るい焙煎:

  • 北欧は浅煎り〜中煎りが主流
  • 明るい酸味、フルーティー
  • フィルターコーヒー(ペーパードリップ)

フィーカは、「生産性を上げるため」ではなく、「人生を豊かにするため」。

わたしも、フィーカを真似て、午後3時にコーヒーブレイクを取るようにしています。

スマホを置いて、ルナ(黒猫)と一緒に、ゆっくりコーヒーを飲む。

その15分が、一日の中で一番ほっとする時間です。

トルコ・ギリシャ: トルココーヒーの伝統

トルココーヒー(Turkish Coffee)は、中東の伝統的なコーヒーです。

作り方:

  • 極細挽きの豆(粉末に近い)
  • ジェズヴェ(イブリク)という小さな鍋に、水、粉、砂糖を入れる
  • 弱火でゆっくり加熱
  • 泡が立ったら火から下ろし、また加熱(3回繰り返す)
  • カップに注ぐ(粉ごと)
  • 粉が沈殿するまで待つ

特徴:

  • 非常に濃厚
  • 粉が底に残る
  • 飲み終わったら、カップを逆さまにして、粉の模様で占い(コーヒー占い)

UNESCO無形文化遺産:

  • 2013年、トルココーヒーの文化がUNESCO無形文化遺産に登録

トルココーヒーは、「ゆっくり時間をかけて作り、ゆっくり飲む」という文化。

わたしも一度、トルコ料理店でトルココーヒーを飲みました。

濃厚で、独特の食感。

「これもコーヒーなんだ」と、コーヒーの多様性を実感しました。

ベトナム: カフェ・スア・ダ(Cà phê sữa đá)

ベトナムは、世界第2位のコーヒー生産国(ほとんどがロブスタ種)。

カフェ・スア・ダ:

  • ベトナムの定番コーヒー
  • 「カフェ・スア・ダ」= コーヒー・ミルク・氷

作り方:

  • フィン(ベトナム式ドリッパー)に粉を入れる
  • 練乳をグラスに入れる
  • フィンをグラスに載せ、お湯を注ぐ
  • ゆっくり抽出(5〜10分)
  • 氷を加えて、混ぜる

特徴:

  • 非常に甘い(練乳たっぷり)
  • 濃厚で力強い(ロブスタ種)
  • 暑い気候に合う

ベトナムのカフェは、プラスチックの小さな椅子に座って、道端で飲むスタイル。

のんびりと、時間を気にせず、人間観察しながら飲む。

それが、ベトナム流です。

【今すぐできる1分アクション】
次の休日、「世界のコーヒーを体験する日」を作ってみましょう。朝はイタリア風エスプレッソ、午後は北欧風フィーカ、夜はエチオピア風に丁寧に淹れる。世界を旅するように、コーヒーを楽しんでください。


第3章: スペシャルティコーヒーの世界──品質と繋がり

繋がりを示すコーヒー豆

前編で「第三の波」を学びました。

その中心にあるのが、「スペシャルティコーヒー」です。

スペシャルティコーヒーとは?

SCAの定義:

  • カッピングスコア80点以上
  • トレーサビリティがある(誰が、どこで、どう育てたか分かる)
  • 欠点豆がほぼゼロ
  • サステナブルな生産

普通のコーヒーとの違い:

普通のコーヒー(コモディティコーヒー):

  • 大量生産、大量消費
  • 産地は「ブラジル産」など大まかにしか分からない
  • 品質にばらつきがある
  • 価格が安い(市場価格で取引)

スペシャルティコーヒー:

  • 少量生産、高品質
  • 産地は「ブラジル・ミナスジェライス州・○○農園・標高1,200m・ブルボン種・ナチュラル精製」と詳細に分かる
  • 品質が安定している
  • 価格が高い(品質に応じた価格)

わたしが初めてスペシャルティコーヒー専門店に行った時、店員さんが豆のストーリーを詳しく教えてくれました。

「この豆は、エチオピアのイルガチェフェ地区、○○農園のもので、標高2,000mの高地で育てられました。生産者は△△さんで、ナチュラル精製で…」

「こんなに詳しく分かるんだ!」と驚きました。

COE(カップ・オブ・エクセレンス)

COE(Cup of Excellence)は、コーヒーのオリンピックのようなものです。

仕組み:

  1. 各国で年1回開催
  2. 生産者が豆を出品
  3. 国内審査で上位を選抜
  4. 国際審査(世界中のQグレーダーがカッピング)
  5. 86点以上が「COE」として認定
  6. オンラインオークションで落札

価格:

  • 通常のスペシャルティコーヒー: 1kg 2,000円〜5,000円
  • COE: 1kg 10,000円〜100,000円以上
  • 最高記録: 1kg 約130,000円(2023年、パナマ・ゲイシャ)

COEの意義:

  • 生産者に正当な対価を支払う
  • 生産者のモチベーション向上
  • 品質向上の競争を促進

わたしは一度だけ、COE受賞豆(100g 3,000円)を買って飲みました。

「こんなに繊細で、華やかで、透明感があるんだ」

その一杯は、今でも忘れられません。

マイクロロットとナノロット

マイクロロット(Micro Lot):

  • 小規模な区画で栽培された豆
  • 通常数十袋〜数百袋(1袋=60kg)
  • 厳選された高品質豆
  • トレーサビリティが高い

ナノロット(Nano Lot):

  • さらに小規模(数袋〜数十袋)
  • 特定の木、特定の区画、特定の日に収穫
  • 極めて希少
  • 価格も極めて高い

例えば:

  • 「○○農園・南斜面・標高1,500m・ティピカ種・2026年1月収穫」

ここまで細かく特定されると、「この豆は、世界でこれだけ」という特別感があります。

ダイレクトトレードとフェアトレード

従来の流通:
生産者 → 仲介業者 → 輸出業者 → 輸入業者 → ロースター → 消費者

生産者の手取りは、最終価格の10〜20%程度

ダイレクトトレード(Direct Trade):
生産者 → ロースター → 消費者

  • 仲介を減らし、生産者に多く支払う
  • ロースターが直接農園を訪問
  • 長期的な関係を築く
  • 品質向上のための投資も

フェアトレード(Fair Trade):

  • 最低買取価格を保証
  • プレミアム(追加料金)を支払う
  • 児童労働の禁止
  • 環境への配慮

違い:

  • フェアトレード: 第三者機関の認証、最低価格保証
  • ダイレクトトレード: ロースターと生産者の直接関係、価格は交渉

両方とも、「生産者を大切にする」という理念は同じです。

わたしが買っているコーヒーの中には、「ダイレクトトレード」と明記されているものがあります。

「この豆を買うことで、エチオピアの農家さんを支援できている」

そう思うと、一杯のコーヒーがもっと意味のあるものに感じられます。

トレーサビリティの重要性

トレーサビリティ(Traceability)とは、「追跡可能性」。

レベル1: 国

  • 「ブラジル産」

レベル2: 地域

  • 「ブラジル・ミナスジェライス州」

レベル3: 農園

  • 「ブラジル・ミナスジェライス州・○○農園」

レベル4: 区画

  • 「ブラジル・ミナスジェライス州・○○農園・南斜面・標高1,200m」
💡あわせて読みたい  【中級編・前編】コーヒーを極める──抽出テクニックとブレンドの世界

レベル5: 品種・精製方法

  • 「ブラジル・ミナスジェライス州・○○農園・南斜面・標高1,200m・ブルボン種・ナチュラル精製」

スペシャルティコーヒーは、レベル3以上のトレーサビリティが求められます。

トレーサビリティがあると:

  • 品質管理がしやすい
  • 問題があった時、原因を特定できる
  • 生産者に正当な対価を支払える
  • 消費者が安心して飲める

わたしは、豆を買う時、必ずパッケージの情報をチェックします。

「○○農園」と書いてあると、「この農園の人が育てたんだな」と、繋がりを感じます。

【今すぐできる1分アクション】
次にコーヒー豆を買う時、パッケージに書かれた情報をじっくり読んでみましょう。「○○農園」「標高○○m」「○○精製」。その情報1つ1つが、豆のストーリーを語っています。


まとめ: プロの視点と世界の広がりで、コーヒーがもっと立体的に

地球とコーヒーのつながり

ここまで、コーヒーの「プロの技術と世界の文化」について、3つの視点からお伝えしてきました。

1. プロのテイスティング技術: SCAAカッピングプロトコル、Qグレーダー、フレーバーノート、ディフェクト
2. 世界のコーヒー文化: エチオピアのセレモニー、イタリアのエスプレッソ、北欧のフィーカ、トルココーヒー、ベトナムのカフェ・スア・ダ
3. スペシャルティコーヒーの世界: COE、マイクロロット、ダイレクトトレード、トレーサビリティ

これらの知識を持つと、

「このエチオピアの豆、SCAAフォームで評価してみよう。フレーバーは…ブルーベリー、ジャスミン、ハチミツ」

「今日は北欧風フィーカ。午後3時、スマホを置いて、ゆっくりコーヒーを飲む時間」

「この豆は○○農園のダイレクトトレード。農家さんを支援できている」

こんな風に、コーヒーがもっと立体的に、もっと意味のあるものに見えてきます。

でも、焦らなくていい。

まずは、SCAAのフォームで評価してみるだけでも十分。
世界の文化を知るだけでも、楽しい。
スペシャルティコーヒーを1つ買ってみるだけでも、新しい発見がある。

後編では:

  • サステナビリティと社会的責任(気候変動、フェアトレード、オーガニック、生産者の暮らし)
  • コーヒーコミュニティとさらなる学び(バリスタ資格、コーヒー教室、産地訪問ツアー、オンラインコミュニティ)
  • シリーズの締めくくり

など、コーヒーの社会的側面と、さらなる探求の道をお届けします。

中編で学んだ知識を少し実践してから、後編に進むのもおすすめです。

あなたのペースで、ゆっくりと。

朝の一杯を、もっと深く。

👉 関連記事:
【関連1】コーヒー上級編・後編: サステナビリティとコミュニティ(近日公開)
【関連2】コーヒー上級編・前編: 歴史・科学・焙煎を知る
【関連3】コーヒー中級編・前編: 抽出テクニックとブレンドの世界

💡 おすすめアイテム:
※SCAAカッピングフォーム(プリント用PDF)
※カッピングスプーンセット(プロ仕様)
※スペシャルティコーヒー飲み比べセット(COE受賞豆含む)
※世界のコーヒー文化(書籍)


FAQ

世界地図とコーヒーノート

Q1: Qグレーダーの資格は、一般人でも取得できますか?

A: はい、誰でも挑戦できます! ただし、6日間の集中トレーニング(費用は約30〜40万円)と、22の試験があり、難易度は高いです。コーヒー業界で働いている人が多いですが、熱心なコーヒー愛好家も取得しています。まずは、SCAのウェブサイトでトレーニングスケジュールを確認してみてください。

Q2: スペシャルティコーヒーは、普通のコーヒーと本当に味が違いますか?

A: はい、明らかに違います! スペシャルティコーヒーは、欠点豆がほぼゼロで、丁寧に精製されているため、クリーンで透明感があり、フレーバーが明確です。最初は「ちょっと高いな」と思うかもしれませんが、一度飲むと「こんなに違うんだ」と実感できるはずです。まずは、100g 1,000円程度のスペシャルティコーヒーから試してみてください。

Q3: フィーカを真似したいのですが、どうすればいいですか?

A: 簡単です! 午前10時または午後3時に、15分のコーヒーブレイクを取るだけ。スマホを置いて、甘いお菓子(シナモンロール、クッキーなど)と一緒に、ゆっくりコーヒーを飲んでください。できれば、家族や同僚と一緒に。会話を楽しむ時間にしてください。北欧の人たちが大切にしている「人生を豊かにする時間」を、あなたも体験できます。

Q4: ダイレクトトレードとフェアトレード、どちらを選ぶべきですか?

A: どちらも「生産者を大切にする」という点で素晴らしいです。フェアトレードは第三者機関の認証があり、分かりやすいです。ダイレクトトレードは、ロースターと生産者の直接関係で、より深い繋がりがあります。どちらかではなく、両方を試してみて、自分が共感できる方を選ぶのが良いと思います。大切なのは、「誰が育てたか」を意識することです。

Q5: トルココーヒーやベトナムコーヒーを家で作るのは難しいですか?

A: トルココーヒーは、ジェズヴェ(イブリク)という専用の鍋があれば作れます(ネットで2,000円程度)。極細挽きの豆が必要ですが、挑戦する価値はあります。ベトナムコーヒーは、フィン(ベトナム式ドリッパー)があれば簡単です(1,000円程度)。練乳を用意して、のんびり抽出を待つ。それだけで、ベトナム旅行気分を味わえます。


【続きは後編で】

希望へ続くコーヒーの道

ここまで、プロのテイスティング技術、世界のコーヒー文化、スペシャルティコーヒーの世界について、お伝えしてきました。

「SCAAフォームで評価してみたい」
「フィーカ、やってみよう」
「スペシャルティコーヒー、買ってみたい」

そんな風に、少しでも「やってみたい」と思えたら嬉しいです。

後編では:

  • サステナビリティと社会的責任: 気候変動とコーヒー生産、フェアトレード・レインフォレストアライアンス、オーガニックコーヒー、コーヒー生産者の暮らしと課題
  • コーヒーコミュニティとさらなる学び: バリスタ資格(JBA、SCA)、コーヒー教室・ワークショップ、産地訪問ツアー、オンラインコミュニティ
  • シリーズの締めくくり: 入門編から上級編までの旅を振り返り、これからのコーヒーライフへ

など、コーヒーの社会的側面と、さらなる探求の道をお届けします。

中編で学んだ知識を少し実践してから、後編に進むのもおすすめです。

焦らなくていい。

あなたのペースで、一歩ずつ。

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【関連1】コーヒー上級編・後編: サステナビリティとコミュニティ(近日公開)


あとがき: 世界は広く、繋がっている

コーヒーがつなぐ人の輪

上級編・中編、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

プロのテイスティング技術。
世界のコーヒー文化。
スペシャルティコーヒーの世界。

この3つを通じて、コーヒーの「広がり」を感じていただけたでしょうか。

SCAAのカッピングフォームを見た時、「こんなに厳密に評価しているんだ」と驚きました。

エチオピアのコーヒーセレモニーを知った時、「コーヒーは神聖な儀式なんだ」と感動しました。

スペシャルティコーヒーのトレーサビリティを知った時、「わたしとエチオピアの農家さんが、一杯のコーヒーで繋がっているんだ」と実感しました。

世界は広い。

でも、コーヒーで繋がっている。

エチオピアの農家さんが丁寧に育てた豆。
Qグレーダーが厳しく評価した豆。
ロースターが丁寧に焙煎した豆。
わたしが丁寧に淹れた一杯。

その一杯には、たくさんの人の想いが詰まっています。

朝の一杯のコーヒーを淹れる時、

「このエチオピアの豆は、SCAAスコア85点。COE受賞豆。△△さんが育てた豆」

そう思うと、一杯のコーヒーが、もっと特別なものに感じられます。

ルナ(黒猫)が、わたしがミルを回し始めると、いつもそばに来てくれます。

「今日も、世界と繋がる一杯を淹れるの?」って言っているみたいに。

その時間が、わたしにとって、何よりも大切な時間です。

あなたも、コーヒーを通じて、世界と繋がってください。

焦らなくていい。
全部知ろうとしなくていい。

あなたのペースで、あなたが興味を持った部分から。

それでは、後編でまたお会いしましょう。

ミオ


【この記事を書いた人】

ミオ(23歳)
都会で暮らしながら、自分らしく生きる方法を模索中。
黒猫ルナと一緒に、朝の静かな時間を大切にしています。
MorningWordsで、あなたの心に寄り添う言葉を届けたい。

[SNSリンク] [プロフィール詳細]


初回公開日: 2026年2月17日
最終更新日: 2026年2月17日

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