
今朝、マグカップを棚から取り出したとき、
なんだか、しみじみしてしまいました。
なんてことないんですけど、聞いてください。
取っ手を持ったとき、指がすっと馴染んだんです。
力を入れなくても、ぴったりくる感じ。
「あ、これだ」って、なんとなく思いました。
このマグカップ、たしか去年の冬にふらっと入った雑貨屋さんで買ったんです。
特にこれと決めて探していたわけじゃなくて、
なんとなく棚を見ていたら、なんとなく手が伸びていた、そういうやつで。
コーヒーをそこに注いで、両手で包むみたいにして飲むのが、
朝のちょっとした習慣になっていました。
でも今朝、ふと気づいたんです。
わたし、毎回、右手の人差し指を取っ手の内側に引っかけて、
親指を外から当てて持つ、って決まった持ち方をしているな、って。
無意識に。
気づいたら、そうなっていた。
それって、なんか、すごくないですか。
いや、すごくはないか。なんでもないことですね。
でも、なんかうれしかったんです。
体が覚えていたんだなぁ、と思って。

ルナがそのとき、足元に来ました。
なにもしてほしいわけじゃなさそうで、
ただぺたっと座って、わたしの足の甲の上に顔だけのせて、
それでまた動かなくなりました。
重かったです、すこし。
でも、それがよかったです。
マグカップを持ったまま、ルナを見て、
朝の光がテーブルの上で伸び縮みしているのを、ぼんやり見て、
コーヒーの湯気がほんのすこし、顔に当たって。
なにも考えていなかったかというと、
色々考えていたと思います。仕事のこととか、返してない連絡のこととか。
でも、なんか、ここにいる感じもちゃんとあって。
取っ手に馴染む、指の感触のせいかな、と思いました。
根拠はないんですけど。
使い慣れたものって、なんでしょうね。
ちょっと、うまく言えないんですけど。
そのカップを買った日のことは、もうあまり覚えていないんです。
でも指は、覚えていた。
それってなんか、
言葉じゃないところで積み重なってきたものが、ちゃんとある、みたいな気がして。
説明しようとすると、するするどこかに行ってしまう感じがするので、
このへんにしておきます。
今日も、コーヒーはちょっと濃くなりました。
毎回同じ量を入れているはずなのに、なんか毎回違うんですよね。
なんでなんだろう。
ではまた、いつか。
あとがき
取っ手の話、うまく書けたかわかんないけど、書いてみたかったんです。こういうのでいいのかな。