
水やりって、なんか好きなんですよね。
これといって何かが起きるわけじゃないんですけど。ベランダに出て、じょうろを傾けて、水が土に落ちる、ただそれだけのことなのに。
今朝もそうでした。
目覚めたのは7時ちょっと前で、カーテンの隙間から光が入ってきていて、「あ、いい天気だ」と思ったら、なんとなくそのまま外に出たくなって。
ルームウェアのまま、はだしにサンダルを突っ込んで、ベランダへ。
じょうろに水を汲んで、鉢のふちから少しずつ注いでいると、乾いた土が水を吸い込む音がするんです。
「ちゅ、」みたいな、小さな音。
あるいはもっと静かな、スッと消えていく感じ。
音というより、気配、みたいな。
うまく言えないんですけど、あの瞬間がちょっと好きで。
土が「もらった」って言っているみたいで。
受け取ってもらえた、というか。
なんか、それだけで、なんとなく朝がはじまった気がするんですよね。
昨日の夜はちょっとだらだらしてしまって、なんか意味のない時間の使い方したな、と思いながら寝て。だから今朝は「ちゃんとしなきゃ」という気持ちが少しあったんですけど。
ベランダに出たら、植物たちが普通に立っていて。
水をあげたら土が普通に飲んで。
なんか、それだけで十分だった気がします。
「ちゃんとしなきゃ」が、じわっとほどけた感じ。

ルナはその間、ずっとベランダの隅にいました。
出てきたときから、日当たりのいい場所でうずくまって、目を細めていて。
水やりをしているわたしのことを、ちらっと見て、またすぐに目を細めて。
特に何もしてくれないんですけど、でも、いるんですよね。
それが、なんか、よかったです。
声をかけたら「んん」みたいな声で返してくれて、また目を閉じて。
忙しそうじゃないのが、すごくいいなと思いました。
ルナはいつも、急いでいないんですよね。
水やりを終えて、部屋に戻って、コーヒーを淹れて。
特別な朝じゃないんですけど、なんかいい朝だったな、と思いながら飲みました。
土が水を吸い込む、あの小さな音を聞けたから、それだけで。
あとがき
水やりってこんなに書くことある?って自分でも思いました。でもなんか、書いてよかったです。