
今日、外に出たら風が吹いていました。
特別な風じゃないんです。ただの4月の、昼すぎの風。
でも、スカートの裾が、ふわっと揺れて。
それだけのことなんですけど、なんか、ちょっとよかったです。
思わず立ち止まってしまいました。コンビニに行くだけだったのに、横断歩道の手前で、しばらくそのままの格好でいました。風待ちじゃないんですけど、なんとなく次の風を待っていた気がします。
もう一回来るかなって。
来ませんでしたけどね。
そのまま歩き出しました。コンビニでお茶を買って、帰り道にまた少しだけ吹いて、また少しだけ嬉しくなって。なんでもないことが続いた午後でした。
それにしても、なんでスカートが揺れるとうれしくなるんでしょう。
昔から、そうな気がします。小学生の頃も、体操着じゃない日の登校が好きで、それは多分スカートが揺れるからだったと思います。今もそれが変わっていないのって、わりと笑えるなぁと思いました。
べつに、何かが解決されるわけじゃないんです。風が吹いたからといって、昨日できなかったことができるようになるわけでも、ぐるぐる考えてたことが止まるわけでもなくて。
でも、揺れた。
それだけで、何かが、少しだけ軽くなった気がしました。

帰ってきたら、ルナが窓のそばにいました。
ちょうど風が入ってくるところで、カーテンの端が少し揺れていて、ルナはそれをじっと見ていました。
目だけが追いかけているやつです。体はぴったり丸まったまま、視線だけがカーテンの端を行ったり来たりしていて、なんか、かわいかったです。わたしもそっとしゃがんで、隣からカーテンを見てみたんですけど、やっぱり揺れているだけで、特に何もなかったです。
でも、ルナはまだ見ていました。
飽きないんですね、揺れるものを見るの。
わたしもそうかもしれないな、と思いながら、床に座ったままお茶を飲みました。ルナはそのうちあくびをして、また丸くなりました。用事が終わった、みたいな顔で。
いい昼でした、たぶん。
なんてことないんですけど、なんかそういう時間が、後から思い出す時間になるんですよね。うまくは言えないんですけど、なんとなくそんな気がしています。
じゃあ、今日はこのへんで。
いい風が吹くといいですね、あなたのそこにも。
あとがき
スカートが揺れるたびに、なんかちょっとだけ「生きてる感じ」がするって、誰かに言ったら変かな。言わないでおきます。