なんて事ない話

知らない人の香水

ミオとルナのMorningWords

朝の電車と香水の静かな瞬間

今日の電車、すごく混んでいました。

いつもより少し遅く家を出てしまって、乗り換えのタイミングもちょっとずれて。気づいたら扉のそばに押しやられていて、動こうにも動けなくて、ため息だけがじわっと出てきました。

前も後ろも人の背中。スマホを見る余裕もなくて、ただ揺られながら、今日の仕事のこと、昨日できなかったこと、そういうのがふわっと頭の中を泳いでいました。

なんか、こういう時って、自分だけ世界の隅っこに立たされているみたいな気持ちになるんですよね。誰も悪くないのに、なんとなく孤独というか。うまく言えないんですけど。

そしたら、ふっと、いい香りがしたんです。

誰の香水なのかはわからなくて、前にいる人なのか、隣の人なのか、全然見当もつかなくて。でもその香りがすごく好みで。フローラルっていうんでしょうか、でも甘すぎなくて、どこかシダーウッドみたいな、落ち着いた感じが混じっていて。

なんだろうこれ、って思いながら鼻をすっと動かしてしまいました。たぶん、はたから見たら不審者です。笑。

でも、その香りを辿っているうちに、さっきまでの「ため息モード」が、少しだけ、ほどけていったんです。不思議なことに。

今日の仕事のこととか、タスクのこととか、そういうのが香りに押し流されていって。ただ、いい匂いだな、ってそれだけになっていました。

知らない人の香水に、救われた朝でした。


静かな夜の家と猫の温もり

帰ってきたら、ルナが玄関で待っていました。いつもはソファの上で丸まっているのに、今日はなぜかドアのそばに座っていて。しっぽをゆらっと動かしながら、わたしの顔をじっと見ていました。

「ただいま」って言ったら、にゃ、って一声だけ。

それだけなんですけど、あの一声で、なんかいろんなものが落ちていった気がして。電車のなかで緊張していた肩とか、うまく気持ちの切れなかった頭の中とか。

ルナは何も聞いてこないし、何かを解決してくれるわけでもないんですけど、そこにいてくれるだけで、ちゃんと帰ってきた感じがします。

香水の話をしてあげたかったけど、もちろん伝わらなくて。でもルナはわたしの足元に体をこすりつけながら、キッチンのほうへ歩いていきました。ご飯が欲しいだけかな。でも、それでいいです。

ふと思ったんですけど、朝の電車での香りも、帰ってきたルナの一声も、どちらも誰かがわたしのために用意したわけじゃない。たまたまそこにあって、たまたまわたしが受け取っただけで。

でも、それで十分だったな、って思いました。

なんてことないんですけど、今日はなんか、そういう日でした。

あなたの今日はどんな日でしたか。なんかいい匂い、しましたか。


あとがき — mio

今日のエッセイ、ちょっとまとまりがなかったかもしれない。でも、香水の話、どうしても書きたくて。
知らない人に助けてもらえること、あるんだなあって、まだちょっと感動しています。

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